石坂洋次郎によせて
昭和8年、はじめての長編「若い人」が当時の文壇で絶賛され、作家石坂洋次郎の名前は、その新鮮な題材とみずみずしい文体とともに広く知られるようになりました。
その後次々と発表した作品が、若い世代に好評のうちに迎えられ、大衆に愛される作家としてその地位を不動のものにしました。戦後まもなく発表された「青い山脈」は、新たな世界への期待を描いて、疲れ傷ついた人々のこころを癒し、新生日本の代名詞にまでなりました。多くの長編小説が繰り返し映画化、ドラマ化されたことでも、作品の時代をこえた人気のほどをうかがい知ることができます。
横手は、作家石坂洋次郎のなりたちに、深いつながりを持つ町です。 大正15年、26歳で赴任した洋次郎が13年にわたり教員生活を送った横手は、「山と川のある町」など、多くの作品の舞台として、その文学をはぐくみ開花させただけでなく、人間洋次郎に大きな影響を与えることになりました。
館内のあらまし
●作家として
日本を代表する作家としての業績と文壇に果たした功績を、生原稿や遺墨、写真パネルなどの展示であきらかにします。 遺品で構成した伊豆の書斎を常設展示しています。
●教師として
「若い人」が執筆された当時の書斎を再現しました。教師として、作家として過ごした横手町時代の資料を展示します。
●講座室
モニターテレビを中心に小集会もできる講座室です。 収蔵室の資料を使って、いろいろな角度から作家像に迫ります。
●建物と庭園
昭和初年の町屋と土蔵をモチーフに、石坂洋次郎の住んだ屋敷町のイメージをつたえます。 庭には、こぶしをはじめ、石坂文学の青春の息吹きを感じさせる樹木、冬にはかまくらを作っておもてなしします。
利用案内
開館時間 | 9:00~16:00 |
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休館日 | 毎週月曜日(休日のときはその翌日) 祝日の翌日・年末年始 |
入館料 | 4館共通入場券100円 発行当日に限り後三年の役金沢資料館・石坂洋次郎文学記念館・横手城展望台・かまくら館ファンタジックギャラリーがすべて100円でご覧いただけます。 |
石坂洋次郎の作品
・海を見に行く
・若い人
・麦死なず
・暁の合唱
・何処へ
・美しい暦
・青い山脈
・女の顔
・もゆる雪
・石中先生行状記
・続石中先生行状記
・丘は花ざかり
・白い橋
・山と川のある町
・陽のあたる坂道
・私の手帳
・ある日わたしは
・あじさいの歌
・寒い朝
・あいつと私
・雨の中に消えて
・川のほとりで
・光る海
・風と樹と空と
・金の糸 銀の糸
・颱風とざくろ
・ある告白
・水で書かれた物語
・女そして男
・老いらくの記
横手市幸町2-10
石坂洋次郎文学記念館 TEL 0182-33-5052