色鮮やかな中山人形の見学

先人の想いを受け継ぐ

「古い作品を見て、先人の想いや技を見ることが楽しい」と中山人形作りの魅力を話してくれた樋渡人形店5代目の樋渡徹さん。

中山人形とは

旧平鹿町(現横手市)中山で「中山焼」を継承したのが野田宇吉(九州佐賀の陶工で、南部山陰焼の創業者)。妻の樋渡ヨシが夫の死後、横手に伝わる押し絵や姉様人形をヒントに、宇吉から習った粘土細工で土人形づくりを始めました。当時は、朝市などで子どもの玩具として販売されていたといいます。140年に渡り受け継がれ、現在は樋渡製作所の5代目がその技術を受け継いでいます。

鮮やかな模様や彩りが魅力の「中山人形」。100種類以上の人形のほか、民俗行事をモチーフにした型もあり、多くのファンを魅了しています。近年には十二支土鈴の羊と馬が年賀切手のデザインとして採用されたこともあり広く全国にその名を知られるようになりました。干支の土鈴は横手市民にも親しまれています。

はじまり

幼少期から遊び感覚で絵付けをしていたという樋渡さん。
本格的に学びだしたのは、23歳とのこと。
40年近く製作を続けながらも「3代目が100だとしたら、私は60だと思う。10年経験してやっとスタートラインに立てる」とおっしゃる樋渡さん。
「昔は玩具として使われてきた人形なので、汚れた人形を見ると可愛がられたんだなぁと感じることができる。それが人形作りのおもしろさで、私にとっては、そんな人形が宝物だ」と愛情を込めた優しい目で作品の数々を眺めていらっしゃいました。

伝統の技

どんなご苦労があるのか、今回は特別に絵付け体験をさせていただきました。
もちろん、ゼロから絵付けをするわけではなく、樋渡さんが途中まで絵付けしてくださった人形の仕上げ作業の部分を少しだけ。

失敗は許されないと思うと、小筆に色をつけるだけでも手が震えます…
コツは「A点からB点までの線をイメージしたら…迷ったらダメ。一気に線引きをしてください」とのこと。
「私もいまだに迷うこともありますよ」と場を和ませてくださる樋渡さんの笑顔に後押しされ、深呼吸。
えいっ!!!!

意外とまっすぐ引けたかも…
ちなみに、多少曲がったり、はみでてた線は樋渡さんが手直ししてくれました(苦笑)

細かい作業に苦戦しながらも、少しずつ慣れてきます。
絵付け後は乾燥させて、樋渡さんに紐をつけていただき干支土鈴の完成です。

難しそうだなと思っていましたが、こんなに難しいとは…

筆先に神経を集中して、一筆一筆真剣勝負!
これを毎日続けていらっしゃる樋渡さんに脱帽です!
完成した土鈴。前足の水色…私が絵付けした部分です…ちょっとよれてて、一目瞭然!!!
こちらは買い取らせていただきました!!!大切にします!

魅力

一体一体丁寧に作りこまれ、一筆一筆に樋渡さんの想いが込められている中山人形。

絵付け体験はできませんが、工房の見学は応相談で受け入れ可能日もあります。
絵付けをする樋渡さんの筆遣いを見ているだけでもその高度な技術にため息が出ます。

毎年発売される人気の「干支土鈴」を毎年買いそろえるもよし。
お雛様などの伝統的な中山人形から、「かまくら」や「ぼんでん」などの横手の行事を題材としたものまで。種類豊富の中から樋渡さんの息遣いを感じるお気に入りを見つけるのも楽しいです。
かまくら館(リンク:https://www.yokotekamakura.com/watch/kamakurakan/)をはじめ、横手市内の土産店で購入できるので、ぜひ手に取ってみてください。

基本情報
内容鮮やかな彩色を施した中山人形、粘土細工の人形天神、お雛様など伝統的なデザインの物や、横手の行事かまくら、ぼんでんを題材とした、作品紹介や見学を行っております。
住所013-0049
横手市駅西二丁目3-10
所要時間約1時間
定員1人~10人
1名当たりの体験料金資料代として1人200円
予約前もって連絡してください
TEL0182-32-1560
HP-