米どころ横手の食文化発酵食品

「味噌汁に、正解がない。自分の好みの味ができれば最高の味噌汁になるの」と笑顔で話すのは、地域で作り継がれる麹をふんだんにつかったお料理と、“いつもの台所に麹がある暮らし”を伝える「旬菜みそ茶屋くらを」の女将 鈴木百合子さん。

はじまり

麹屋の次女として生まれた、百合子さん。中学卒業後は進学のため、親元を離れて暮らしていたそうです。福島に進学、就職、結婚した後に、体調を壊し通院していたそうですが、なかなか治癒せず、それを機に秋田に帰りたいという気持ちが強くなり、そんな百合子さんの気持ちをご主人が理解し、家族全員で帰郷したと言います。

帰郷後は、闘病生活を送りながら、お母様が作るご飯を食べていたそうですが、ある時、味噌汁を食べて「人間の身体は食べ物でできているのに、食べることをないがしろにしていたら、いつまで経っても元気になるわけがない」と気づいて以来、“食”に対する考え方が変わり、きちんと食事をとるように心掛けたことで体調も良くなったと百合子さん。ご両親の仕事を見るようになり、「麹」や「味噌」の素晴らしさを改めて感じることができたそうです。このことをきっかけに「素材の素晴らしさを引き出す麹を使った料理を提供したい」と「旬菜みそ茶屋くらを」をオープンしました。

内蔵のある町として知られ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている秋田県横手市増田にある「くらを」。平成15年まで酒造りをしていた旧勇駒酒造の建物をリノベーションし、お酒の仕込み水として使われていた井戸水を、いまも全てのお料理に使用しているそう。

「おもてなしとは、手間を惜しまないことだと、私は思っています」と百合子さん。調理場では、お母さんたちが、丁寧に出汁をとり、じっくりと時間をかけ、お客様の喜ぶ顔を想像してお料理を作っています。これが「私たちができるおもてなしです」と素敵な笑顔を見せてくれました。

くらをは大正七年創業の「羽場こうじ店」が手がけていて、長年受け継がれてきた「麹」をふんだんに使った「㐂助みそ」で作った味噌汁や「麹」を使ったお料理を提供しています。味噌ソフトクリームや甘酒の販売や、味噌や味噌漬けの量り売りもしているので、ふらっと立ち寄るお客さんも多いそうです。

味噌玉づくり体験

1,500円で体験できます。30分で可愛い和菓子みたいな「味噌玉」が作れます。

始めに粉に挽いた魚や海藻と味噌を混ぜます。

あとは、自分好みの具材を選びます。乾物に見えないほど、綺麗な具材。彩りなども考えながら味噌と合わせて、ピンポン玉のように丸めていきます。

一つ目は思うようにいかずに苦戦しますが、二つ目では少し手慣れてきます。三つ目が完成するころには自分好みの「味噌玉」が完成!センスが問われるので、みんな夢中に。

完成後は、自分が作った味噌玉にお湯を注いでの場で食べることができます。残りはケースに入れてお持ち帰りに。

魅力

日本食に欠かせない味噌汁。体験を通じて、改めて味噌の味、麹の甘さなど、日本食の素晴らしさを感じることができます。
味噌玉は、どの具材を組み合わせても美味しいので、新しい味噌汁の具材発見にも。
鈴木女将や、「くらを」で働くお母さんたちの笑顔やおもてなしに心癒され、故郷に帰ってきたような気分になります。ぜひ、「旬菜みそ茶屋くらを」に足を運んでみてください。

基本情報
内容米どころ横手の食文化には欠かせない発酵食品。国指定有形文化財に登録された旧勇駒酒造の建物を利用した「旬菜みそ茶屋くらを」では、年中通して麹を使った郷土料理が楽しめます。味噌玉づくり体験ができます。
住所横手市増田町増田字中町64
所要時間30分
定員応相談
1名当たりの体験料金1,500円
予約実施日の1週間前
TEL0182-45-3710 / FAX 0182-45-3711
HPhttps://kurawo.net/